リスクコミュニケーションのアプローチを提案した論文、
Why Rules Are Not Enough: A problem-Solving Approach to Risk Communication, Katherine E.Rowan, Risk Analysis, Vol. 14, No.3, 1994
を読んでいて面白い部分を見つけた。リスクコミュニケーションとは、災害などのリスクを行政機関などが発信する方法や、被害者との間で対策方法などを調整することを研究する学問のこと。
この論文の中ではリスクコミュニケーションの具体的な戦略がいくつか記述されていて、面白かったのは2番目(4.1節 OptionB)。
- 聴衆が不安になっていることを理解し、尊重しているそぶりをみせる
- 発表側と聴衆側の相互が協力して問題の解決に取り組めるようにする(事前に策定された計画を無理強いしない)
- 様々な情報源に対して公平に耳を傾けてくれるようにお願いする
- 対策のメリット・デメリットをきちんと議論する
この2番目は、「あなたがなんとかしなければならない事故」から「わたしたちがなんとかする事故」へと変える働きがあると思う。そして、このはたらきは被害者と対応者の間に信頼と納得をもたらすのではないだろうか。
この論文は、リスクコミュニケーションに必要な段階を示した「CAUSEモデル」を提案していることで有名。このモデルに興味があれば筑波大のリスク工学の講義資料がわかりやすくて惚れ惚れ。